サプライズという名の地獄/59番目のマリアージュ

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ロマンチックと無縁の夫の逆サプライズ

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地獄地獄言う私に「それだけしてもらって文句言うな、感謝しろ」と説教したい人もいるだろう。「そんなのは富豪の悩みだ、『石油も出るけど天然ガスもほしい』みたいなワガママだ」というお叱りも甘んじて受ける。

 

たしかにサプライズする側には悪気はないどころか、好意と熱意しかないわけで、文句を言う私の方が完全に悪者だ。

しかしながら、私は相手の期待するようなリアクションをできない自分が申し訳なかったし、「ワイは女として失格なんやろか」と自己嫌悪も感じていた。

 

パートナー選びの一番の条件は「その人といる時の自分を好きか」だと思うが、私はその元彼といる時の自分が嫌いだった。さらに本音を言うと、元彼に対して「自分に酔ってるのがキモい、こんなナルシストは無理」と思っていた。

 

そんなわけで我々は破局したのだが、私と別れた後、彼は会社の後輩女子と結婚した。

共通の友人いわく、その後輩女子は「サプライズやお姫様扱いが大好きだから、欧米人と結婚したい」と常々言っていたらしい。

やはり夫婦はマッチング次第。無理して自分を削らなくてもピッタリ合う、おせんべいの片割れを見つけるのがベストなのだろう。

 

我が片割れである夫は、誕生日プレゼントに「斧はどうか?」と提案してくる、ロマンチックとは無縁の男だ。

 

新婚1年目の私の誕生日は平日だったのだが、「べつに何もしなくていいよ」と伝えていたところ、夫は普通に手ぶらで仕事から帰ってきて、「本当に何もないんだな?!」と逆サプライズだった。

 

「とはいえ、ワインやケーキを買って帰るかと思った」と言うと「キミは誕生日が好きなのか?」と返されて「えっ…好きとか嫌いとか考えたことないけど」と困惑した私。

 

夫いわく「俺は人類が火星に到着するところを見たいから、なるべく長生きしたい。だから死に近づく誕生日が嫌いなので、祝うという発想がなかった」とのこと。

ちなみに人類が火星に到着するところを見たら、死んでもいいらしい。どれだけ火星が好きなのか。

それから毎年、夫は誕生日にワインとケーキを買って帰るようになった。

無自覚なサプライズが起こる日々

 

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