二人が同じ方向を見なければ成立しない「今年の夫婦の目標」/カレー沢薫

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私は見た、長谷部を

カレー沢薫のカレーなる夫婦生活

 

長谷部のうどんが発売されてからその店舗は賑わっているらしいが、当日は客が少なく、すぐに入ることができた。みんなクリスマスイヴに長谷部のうどんを食べなかったら、一体他に何を食っているのだろうか。鳥の死体とかだろうか。可哀想である。

 

店内は閑散としていたが、私たちの前に入った男性のひとり客も長谷部のうどんを注文していたので「こいつクリスマスの過ごし方を心得ているな」と、勝手に一目置いた。

 

そして長谷部のうどんはやってきた、店員の「あなたの長谷部です、お納めください」というコールと共に。

 

その時私には見えた。厨房でほほ笑む長谷部が。

 

同行したデザイナー氏によると、私がずっと「セイイエス状態」でどうしようかと思ったとのことだが、私は長谷部が見えなかったという彼の方が心配だ。いるものが見えないというのも立派な症状である。

 

というわけで、諸君には悪いが、今回のクリスマスは完全にサクセスであり、リア充だった、遠慮なく爆発しろと言ってくれて構わない。

 

よって今年のことなどどうでもいいのだが、一応今回のテーマは「今年の夫婦の目標」だ。

 

そんなもの「初日の出」だ。それか「富士山」でもいい。書き初めに書かれている、あの謎の文言だ。アレを書いて何を成し遂げようというのか本当にわからない。
私個人としては、目標というより義務レベルで改善すべき部分があるが、夫婦の目標と言われると思いつかない。

 

そもそも今まで夫婦で足並みをそろえて何か達成したことがあっただろうか。私は家族間ですら協調性がなく、いつも一人で何か企て、一人で瓦解させている。

 

それに私が何か提案したところで二人の目標というより、手前の思いつきに相手を巻き込んでいるだけな気がするし、自分の方が先に投げ出すに決まっている。
犬を拾ってくるのは私だが、世話するのは夫。そういう家なのだ。

 

夫婦の目標というのは、二人のベクトルが同じ方向を向いていて初めて成立することである。
だから夫に「今年の二人の目標は家を綺麗する、だ」と言われても「方向性が違う」と言って断るつもりである。

 

Text/カレー沢薫

 

 

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