まさかの浮気疑惑!奥さまは名探偵/旦那さまは貴族(山田ルイ53世)

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series_03

 

貴族

 

一月ほど前の話。

妻と娘が、一週間ぶりに帰って来た。

別に、夫婦喧嘩の末、娘を連れて家出していたわけではない。

毎年恒例、お盆の里帰り。

娘を伴い、妻の実家に帰省していただけである。

僕は仕事があったため、一人で留守番。

少し寂しいが、いつものことだ。

「…誰か来たでしょ!?」

帰宅して早々、僕の部屋にやって来た妻が放った一言。

要するに、妻と娘が居ぬ間に、僕が女性を連れ込んだのではないかと疑っている。

突然の浮気容疑…心外である。

勿論、そんなことはしていない。

潔白である。

しかし、彼女には、根拠があるそうな。

「必ず、カギをかけること!!!」

そう書かれた、幅広の黄色いポストイット。

これまで、何度か、窓の施錠をせぬまま外出した前科のある、僕へ向けての妻お手製の注意書きである。

帰省する前に、部屋の窓に貼っておいたはずのそれが見当たらないと怪訝な表情。

女性の来訪に備えて、剥がしたに違いない…それが、彼女の言い分である。

重ねて言うが、僕は潔白。

妻が帰省した翌日の朝。

目覚めた際、窓に貼ってあるポストイットが、大きな蛾に見え肝を冷やした。

毎朝それは御免なので、剥がしただけのこと。

それが真相である。

大体、それなら、未だあちこちに、干しっ放しの妻のパンツの類を、いの一番になんとかするのでは…そう諭す。

彼女もそれほど本気ではなかったのか、ほどなく納得し、部屋を出ていった。

やれやれである。

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