ゾンビ・悪霊・怪物、もうこわくない!家族をもった男の強さ/旦那さまは貴族(山田ルイ53世)
僕は、“ホラ―映画”が好きである。
特に、“ゾンビ”関連の作品は、かなりの本数を鑑賞してきた。
“一発屋”である自分の現状が、ゾンビと重なり合う…別に、そんな話ではない。
単純に好きなのだ。
実はここ数年、その好きなホラ―映画を堂々と楽しめない環境にある。
結婚し、娘が生まれたことが大きい。
この夏、四歳になったが、まだまだ年端もいかぬ子供。
彼女の前で、阿鼻叫喚の地獄絵図、血みどろのスプラッターシーンは、好ましくない。
家族が集まるリビングでの鑑賞は憚られる。
結果、自室で一人、コソコソと鑑賞することに。
一人で観るホラ―映画は、むしろ恐怖も増し好都合なのだが弊害もある。
家族も寝入った夜も深い時間帯になると、
「シ――――ン」
矛盾した言い方になるが、その静けさははっきりと耳で聞き取れる程。
少しの物音でも派手に響き渡る。
ある時など、
「キーボードの音が大きい!!」
隣室で娘と寝ていたはずの妻が、僕の部屋に恐ろしい剣幕で怒鳴りこんできた。
別に、自分の担当楽器を猛特訓していたわけではない。
そもそもバンドを組んだ覚えもない。
漫才の台本を書いていただけ。
どうやら、パソコンのキーボードを叩く音がうるさくて、眠れなかったようである。
深夜には、それほど、僕の部屋の物音は、妻と娘が眠る隣室に筒抜けとなるわけだ。
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