ゾンビ・悪霊・怪物、もうこわくない!家族をもった男の強さ/旦那さまは貴族(山田ルイ53世)

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もう怖いものはない

 

「イヤホンを使えば良いのでは?」

 

御尤もだが、そうなると、今度は周囲の音や気配が全く察知できない。

 

お風呂で目を閉じ、頭を洗っていると、背後が気になるのと同様、映画に集中出来ない。

 

ナイーブな人間なのだ。

 

 

以来、僕は、自室での観賞にも神経を張り詰めなければならない。

 

「この女、そろそろ叫びそうだな…!」

 

ゾンビ、悪霊、怪物。

 

奴らの出番、そのタイミングをいち早く察知し、登場人物の女が泣き叫ぶその寸前で、テレビの音量を極限まで下げる。

 

リモコンのボタンを押す指先が、白くなる程、ギュ―っと。

 

ホラ―映画、その肝心要の見せ場を、無音でやり過ごす。

 

恐怖も半減…いや、全く怖くない。

 

 

人間、守るべきもの、つまり、家族を持つと強くなるという。

 

確かに。

 

僕にはもう、“怖いもの”などない。

 

Text/山田ルイ53世

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