「一国一城の主になりたい」脳を5%しか使えていない僕の焦り/旦那さまは貴族(山田ルイ53世)

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series_031人の親ともなれば、何かと“焦る”ことが多い。

 

先日、妻が持ち帰ったとあるパンフレットなどはその典型例。

 

所謂、早期幼児教育を謳った塾の案内である。

 

訊けば、体験入学をしてきたそうな。

 

「人間は潜在能力の5%しか発揮出来ない…残りの95%を引き出すには…」

 

などと始まり、“右脳”だの、“左脳”だの、果ては“天才”といった文言まで踊っている。

 

さながら、漫画「北斗の拳」の世界観。

 

一子相伝の神の拳、その奥義でも書いてあるのかと一瞬我が目を疑った。

 

別段、娘を世紀末救世主にしたいわけでもないが、1mmも心が動かないと言えば嘘になる。

 

 

極め付けは、

 

「六歳までに、脳の全てが決まる!」

 

という一節。

 

「今、お申込みなら最初の一カ月無料!」

 

「限定○○個!お早めに!!」

 

そんなスーパーのセール、何かの販促キャンペーンの煽り文句とはパンチの重さが違う。

 

我が子の脳の話となれば、そう簡単にはノーとは言えない。

 

親とはかくもしょうもない生き物なのである。

 

実際通わせるかどうかは別問題だが、とにかく焦るのである。

 

 

またある時は。

 

「○○さんのお宅、今度、引っ越すんだって―!」

 

仕事を終え帰宅した僕に、妻が告げる。

 

○○さんとは、妻のママ友。

 

この度、御両親から受け継いだ都内の一等地に、マイホームを建てたらしい。

 

羨ましい限りである。

 

そう言えば最近、

 

「猫ちゃん飼いたいなー!」

 

娘が言っていたのをふと思い出す。

 

しかし、我が家は借家であり、ペットは禁止。

 

彼女の願いは叶えてやれない。

 

貴族でもあるまいし、都内で一戸建てなど、“一発屋”にとっては夢のまた夢。

 

妻に他意がないのは承知だが、否応なしに焦る。

 

何より僕とて、古臭い物言いで恐縮だが、“一国一城の主”に対する憧れはあるのだ。

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