魔法少女になった娘(4歳)が手を出した「禁断の魔法」/山田ルイ53世(髭男爵)

娘作の“魔法の杖”
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娘が手を出した「禁断の魔法」

先日。

僕が自室で原稿を書いていると、娘が入ってきた。

手には、件(くだん)の“魔法の杖”。

「ももちゃん、どうしたの?」

休憩がてら、少し相手をしてやるかと、娘に向き直る。

振り上げた杖を、頭上でクルクル回し始める彼女。

(一体、今日はどんな魔法を…)

身構える僕に、彼女は満面の笑みで、

 

「パパ…死ねー!」

 

2016年の流行語大賞を獲った“死ね”より、殺傷範囲こそ小さく済んだが、さすがに娘を叱りつける。

「ももちゃん!パパが死んでもいいの!?」

「幼稚園で、お友達にそんなこと言ったら嫌われるよ!?」

僕の剣幕に、只事ではないと理解してくれたのか、

「ごめんなさーい!」

「パパ死んだら嫌だ―!」

すぐさま反省し、泣き出す娘。

“死ね”などという言葉を一体どこで覚えたのか。

いずれにせよ、彼女に罪はない。

何より、その数日後、

 

「ママよママよ…もっと可愛くなれー!」

 

食事の支度中の妻に、娘がかけた魔法に比べれば、“死ね”など屁の河童である。

緊張感が漲る我が家のリビング。

何故か一言も発しない僕と妻に、戸惑うばかりの娘。

この気まずい状況を打開する“魔法”は、残念ながら…ない。

 

Text/山田ルイ53世

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