流行歌から食レポまで。侮れない子どもの吸収力/山田ルイ53世
先日。
帰宅してリビングを覗くと、丁度風呂上りで素っ裸の娘が、鼻歌交じりでパジャマに着替えていた。
「ペーパイパイポーアポペー♪」
おそらく、昨年動画投稿サイトで何億回と再生された世界的なヒットソング。
それを横で眺めていた妻の、
「ももちゃん!もう誰も歌ってないよ!やめなさい!!」
の一言に、何故か僕も傷ついたが、四歳児が“耳コピ”したにしては上出来である。
子供の吸収力は侮れない。
しばしば、“スポンジ”などと例えられるが、ただのスポンジではない。
床に大量にぶちまけたジュースやソースの汚れを、ギュッと押し当てるだけで全て吸い取ってしまう、通販でお馴染みの外国のスポンジ……あれである。
常識や偏見のテフロン加工を施された、我々大人の脳や心と違って何もはじかない。
「テレビを見るとバカになる!!」
というバカっぽい教育方針から、僕が小学校の低学年から中学の半ば位までの長きに渡って、実家にはテレビが無かった。
おかげで、同世代のお笑い芸人が夢中になり、その芸の基本となったであろう、数々の素晴らしいバラエティー番組を僕は見逃してしまっている。
そんな“喪失感”を胸に生きてきたものだから、娘にはむしろテレビをみせてやりたいと考えている。
少なくとも、次の日、幼稚園や学校で話題になるような、“同世代あるある”をしっかりと共有しつつ成長して欲しいのだ。
勿論、無制限というのもよろしくないので、“一日に二つの番組”と決めているし、大体が、“子供向け教育番組”とか、“子供向けのアニメ”といったラインナップ。
何の問題も無い……そう思っていた。