不倫の疑いをかけられた「全裸の写真集事件」/山田ルイ53世(髭男爵)

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『ゲス不倫』なるワードも、すっかりお茶の間に浸透した感がある昨今。

未だに、月一ペースで暴露される著名人の醜聞が、ワイドショ―を賑わしている。

そんな不貞の話題を目に耳にする度、ふと思い出すことがある。

自分の身内にも、不倫の当事者がいたことを。

父である。

 

あれは、三十年近く前の話、僕が中学生の頃。

芸能人でも国会議員でもない、一介の公務員だった父と職場の部下の間で繰り広げられた不倫劇。

 

発覚の発端は、ある日、帰宅した父が、

「今日は、皆に“そば飯”を食べさせてやろう!」

当時、流行り始めていた、神戸のご当地B級グルメ“そば飯”……焼き飯にソース焼きそばの麺を細かく刻んで混ぜ合わせ炒めたもの……を家族に振る舞ったことだった。

「うわー、美味しいねこれ!」

僕などは、『普段台所に立たない父の手料理』が醸し出すスペシャル感に気おされ、まんまとテンションを上げ頬張っていたものだが、

「……なんで?」

と口に入れる前に、執拗に尋ねていた母は何かを嗅ぎ取っていたようで、ほどなく不貞は明るみに出た。

女の勘は侮れない。

 

後々父が白状した処によると、件の“そば飯”は、浮気相手に教わったレシピだったとのこと。

おそらく、愛人のマンションで御馳走になったであろう料理を、シラ―っと母に食わせた彼の猟奇的な言動には背筋が凍る。

あるいは、そば飯の旨さが、

「絶対、家族に食べさせてやりたい!」

と罪悪感を上回り父を衝き動かしたのか……いや、そんなに大した味の食べ物でもない。

 

気掛かりなのは、今現在の父のことである。

既にあれから何十年も経過したが、これほどまでに連日、不倫不倫とワイドショ―に騒がれては、寝た子を起こすようなもの。

昔の過ちを母に蒸し返され、居心地の悪い日々を送っているに違いない。

自業自得だが。

 

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