結婚指輪と婚約指輪を盗まれて1年が経った話/元鈴木さん
私の母は、父からバブルの時代にもらったそこそこ立派なダイヤの指輪をなくしている。
「婚約指輪なくすとか関心なさすぎwwww」
と母を笑った娘が、なんと数ヶ月後に結婚、婚約指輪の二本を一度に失う羽目になった。
正直、この記事を書けるようになるまで1年以上かかった。それでもいまだに気持ちの整理はつかない。
私にとって婚約指輪はというものは、ただの指輪以上の意味を持つ存在だったのだ。
盗まれた指輪
2017年1月3日。
その日はライスボウルという、アメフト学生日本一と社会人日本一が戦う日だった。富士通フロンティアーズと関西学院大学が戦うため、私はゴリラの応援に東京ドームに行った。
結果は、富士通が無事に勝利。試合は終了した。
安心した私は、お手洗いに行き手を洗い、指輪を外した。
私はADHDのため物を失くしやすい。
そのためいつもは絶対に指輪を外さない。
しかし、その時はお正月や勝利の安心感からかぼうっとし、なぜか指輪を外して手を洗い、目を離してしまったのだ。
気づいた時にはすでに遅く、洗面台に指輪は無かった。
落し物にも届けられていなかった。
まさかアメフトの会場で、アメフトのお客さんに盗まれるとは思わなかった。
たった一瞬の判断ミスで、いつも自分の指にあったものが、永遠に自分のもとから消えてしまったのだ。
呆然とした後、涙が出てきた。
私にとって、婚約指輪はただの綺麗な石がついた指輪ではなかった。私が生きていても良いという証だったからだ。