フリーターなのに石油王と結婚すると思っていたバカかりし頃の話/元鈴木さん
結婚をしたいと思ったとき、結婚相手への条件というものが頭に浮かぶと思う。
例えば、出張がないだとか、イケメンがいいだとか、優しい人がいいだとか…人によってその条件はそれぞれあるものだろう。
うら若き私にも、もちろんあった。
年収1000万だとかならまだ現実的だが、なんと私は石油王あたりと結婚すると思っていたのだ。
石油王と結婚できると思っていた20代前半
うら若き私はまあまあ可愛かった。
まあまあモテていたし、食いたい男は間違いなく食えていた。
世界は自分中心に回っていると思っていた。
なので、万が一結婚するなら相手は石油王みたいな大富豪で、30代の私はきっと外資系ホテルのエステに毎日行っているもんだと思っていた。
(十中八九、結婚する前に男に刺されて死ぬだろうとも思っていたが)
要は、私はなんとも調子をこいた若い女だったのだ。
よくある若さゆえの勘違いだと今なら理解できるが、当時はスターをゲットしたマリオよろしく無敵だという感覚に陥っていたのだ。
しかし、そんな浅はかな私でもだんだんと残酷な事実に気付いてきていた。
私が出会うお金持ちにはロクな人間がいなかったのだ。
東京に来てからお金と暇が有り余る男性と出会うことは多々あっても、だいたいなぜかクソ野朗ばかりだった。
例えば、
親がお金持ちだということをひたすら自慢するセクハラがすごいお坊っちゃん、
ルブタンを履いた何をしてるのかわからないセクハラがすごいオッサン、
70kgくらいで、皮下脂肪が薄いために浮き出た腹の筋を細マッチョだと言い張るセクハラがすごいガリ…。
グラドルや女優の卵から、ヒルズのパーティーなんてものに呼ばれてたまに行ってみれば、だいたいこんなラインナップだった。
そういう場では、あからさまに女としての価値を値踏みされるので居心地が悪かったのを覚えている。
毎回そんな感じだととりあえずムカついたし、ゴマをすれるくらい必死にもなれなかった。
「この世にはロイヤルファミリーとかジョージクルーニーとかが確実に存在するはずなのに、なんで私が目にする奴らは全員クソばかりなんだ…!」といつも不思議だった。
しかしそれは、ただ運が悪かったのではなかったことに後々気づくことになる。
お金はあってもろくでもない男ばかりに当たるのは、正当な理由があったのだ。